先週、本が届いた。


大企業のウェブはなぜつまらないのか―顧客との対話に取り組む時機と戦略/本荘修二

¥1,680 Amazon.co.jp


買ってもいないのになんでだろうと中を見てみると


NILSでもよくご一緒させて頂く本庄さん からの献本でした。


というわけで早速この土日に読ませて頂いた。




タイトルにもあるようにこの本は大企業の


マネージャーに対して大企業のウェブを


面白くさせるために書かれた本であり、


僕のようなベンチャーで経営者という立場とは


ちょっと違う。




ただ内容については、今まさにこのインターネットに


おいて変わりつつある消費者の購買行動に


ついてフォーカスをあてながら、最終的に大企業が


どうやってこのインターネットに取り組むかについての


アクションプランまでと現状のインターネットで


おきている大きな流れを俯瞰して読める感じ。




ECナビ の場合、すでに価格比較サイトとして


消費者の購買行動にダイレクトに影響を与える


存在なだけに、AISASやAISCEASの話も含めて


納得感を持ちながら読めた。




ただ改めて思ったのは、やっぱり大企業が


このインターネットの流れに対して自社で


取り組むのは大変なんだろうなということ。




この書の中で、大企業は本格的ネット化に備えて、


『研究開発と体制づくり、そして実験的な試行が


大事である』とあり、それを『実験物理学』に


例えていたけれど、うん、これってたぶん日本の


大企業がもっとも不得意なやり方だと思う。



失うモノが多ければ多いほど新しいことへの


取り組みは遅くなる。まさにイノベーションの


ジレンマが大企業において起きている。


そしてこのジレンマを乗り越えるためのヒントが


最後の第8章「推進力」にある。

でもこれを実際に実行できる大企業がどれだけ


いるのかはちょっと疑問かな。

インターネットは顧客との対話方法だけではなく


そもそもビジネスの競争の時間軸を大きく変えた。


更にベンチャーでは組織のあり方まで変えようとしている。

このような大きな変化の時代とは、ベンチャーに


とってはリスクではなく大きなチャンスがある時代。


僕にとっては楽しい時代がまだまだ続きそうです。




あと、個人的にこの中でおもしろいなーと思った概念はこれ。


第7章ロードマップの中で紹介されていた


「アクティブウェイティング戦略」という考え方。


これはちょうど今、ECナビ内ではクリード推進委員会にて


会社全体のビジョン案を創っているところなので非常に


参考になった。





アクティブウェイティング戦略とは、新興市場への事業展開に


ついて、先が読めない事業環境では、派手な手をうつよりも


着々と進める準備のほうが大事という考え。


ちなみにこの戦略で重要なことは2つ。


・ビジョンはあいまいに、優先順位は明確に。


・将来に向けた調査をし、チャンスやピンチの予兆をウォッチする。




ちょっと抜粋しますが、


「ビジョンはあいまいがよいというのは、進むべき方向と


目標を示しつつも、企業の行動を型にはめないためである。


逆にビジョンが具体的過ぎると、先が読めない市場では


足かせになることがある。」




事業部制を進めていくうえでのコーポレート全体の


ビジョンをどうつくっていくか、悩ましいところが多いのですが


なんだか光が見えてきた気がします。